季刊 住宅土地経済の詳細

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タイトル 季刊 住宅土地経済 2015年冬季号
発行年月 平成27年01月 判型 B5 頁数 40
目次分類ページテーマ著者
巻頭言1日本で起きたのは多極集中だ八田達夫
座談会2-14老朽マンション問題について浅見泰司・笠谷雅也・田村誠邦・森重克人・山崎福寿
論文16-25不動産バブルと金融危機の解剖学西村清彦
論文26-35開発許可における敷地面積の最低限度規制に関する考察大嶽洋一
海外論文紹介36-39住宅の調整費用と家計消費モデル三善由幸
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2000年代に米国に端を発したバブルの崩壊は、今でも世界経済に大きな影響を及ぼしており、それがいかなるメカニズムによるものかを検証することは、最も重要なテーマの一つである。西村論文(「不動産バブルと金融危機の解剖学 」)は、本誌NO.93に掲載された論文(「不動産バブルと金融危機の解剖学」)に続き、不動産バブルと金融危機のメカニズムを鳥瞰図的な視点から明らかにしたものである。
まず、新興国の市場経済への参入に伴って先進国とくにアメリカの名目金融資産に対する需要が急拡大し、それが大きなデフレ圧力をもたらしたことが、簡単なモデルで説得的に描写される。とりわけ中国をはじめとする新興国参入のインパクトの大きさがわかりやすく示されている。
そのうえで、ユーロ市場の創設という未完の実験により、ファンダメンタルズに不安を残すギリシャなどにおいても、急激なリスクプレミアム低下を生み、それがユーフォリアとして過度なリスクテイクを行なう環境を、欧州においても生み出していたことが指摘される。
また、これらの動きが明らかに加速されている2004年という年に注目する。そして2004年にアメリカで行なわれたベアスターンズ特例をはじめとした規制緩和によって、多くのリスクの高い商品が組成される環境を生み出し、過剰なリスクテイクが助長したことを突き止めている。
西村論文は、シンプルなモデルと記述統計によって、何が起こっていたかを鳥瞰図的にわかりやすく解説している。そこで伝えられるのは、新興国とアメリカ、欧州の家計、企業、とくに金融機関と政策決定者のさまざまな行動が、相互依存的に危機を発生させていくさまである。その過程はきわめて複雑であり、事前にはどのような意味も読み取れないかの印象さえ受ける。しかし、西村論文では2004年の明らかな構造変化も提示される。そのような意味において、バブルに対する代表的な見方、事後的な対策を重視する立場と事前対策を重視する立場に関する議論にも、このような事後的な振り返りは大きな役割を果たすのではないだろうか。

住宅政策や都市政策の企画立案にあたっては、当たり前のように工学的な配慮がなされてきたが、経済学的な観点からの実証的な検証がほとんど行なわれることはなかった。大嶽論文(「開発許可における敷地面積の最低限度規制に関する考察」)は、最低敷地規模規制の効率性に関する実証分析を行なったものである。この規制には、行政指導、都市計画の用途規制、地方自治体独自の開発条例、という三つのタイプのものがあることが報告される。また、最低敷地規模規制については、経済厚生に対して正負二つのインパクトがあるため、効率性の判断には実証的な検証が必要であることが指摘される。
この方針に基づいて二つの実証分析が行なわれている。規制のタイプ、規制強度が地価にどのような影響を与えているかについてのヘドニック法による分析からは、すべての規制タイプについて地価を引き下げる効果が観察され、特にその傾向が行政指導による規制で顕著であることが報告される。また大嶽論文は、ミニ戸建てのデータを収集し、ミニ戸建てが地価に与える影響を実証分析して、80?以下の狭小なミニ戸建てに隣接するケースのみ、有意に地価を引き下げる効果があるとしている。そして、これらの実証分析結果を受けて、ミニ戸建ての外部不経済とはその高さがもたらすものであるとし、その実態に合わせるべく景観規制を活用した制度への変更を提言している。
大嶽論文は、制度のていねいな分類および綿密な実証分析に基づく制度設計の一つのモデルを示すものである。一方、いくつかの課題も存在する。大嶽論文の規制の分類では、指導要綱に基づく規制は規制強度も強いものが多いことがわかる。このため、現在の実証分析手法では、得られた結果が規制のタイプによるものなのか、単純に規制強度によるものなのかが必ずしも明らかになっていない。また、大嶽論文の重要なファインディングであるミニ戸建ての外部性の狭域性を制度設計に反映させるとすれば、隣地とのコース的な交渉を促すような制度も検討されてもよいのではないだろうか。
価格(税込) 786円 在庫

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